インフルエンザなどの感染者数が減少傾向にありますが、依然として多い状況です。冬季休業中は、手洗いの徹底と適切な換気、保湿など、感染防止対策に心掛けてください。
皆さんは、「学校の勉強は社会に出て役立つのか」と思ったことはありませんか。
「脳」は自分のものであるにもかかわらず、脳というのは気まぐれで、思いどおりには動いてはくれないものです。科学者の中には、人間は自分の意志で行動しているという考え方と、脳にインプットされた情報によりつくられた活動パターンにより行動しているという考え方を持った人がいるそうです。膨大な情報の中から最適な答えを出してくれる生成AIのように、人間もインプットされた情報の中から行動を判断しているという考え方は、一見、当たり前のようではありますが、実は、先ほどお話したように、脳が思いどおりには動いてくれないということを前提とすると、「私の意志はどうなるの」ということになります。小学校の時に習った「反射」とは違って、皆さんは、普段の行動は、自分で判断し行動していると思っていると思いますが、実は違うかもしれないということです。
皆さんは、行動を起こした後に「何でこんなことをしたんだろう」と思ったことはありませんか。「塩」と「砂糖」を間違ったり、色は同じだけど違う種類の靴下を履いていたり、机に座った瞬間に「何しようと、してたんだっけ」と思ったり、似たようなことはたくさん経験していると思います。私って、「そそっかしいな」、「うっかり」と片付けてきたのだと思います。
ある科学者の研究によると、「意思の決定」よりも「脳の活動」の方が0.5秒ほど速いということが分かったそうです。これは、「人が『この瞬間に決めた』と認識する前にすでに脳は行動を決めている」と解釈できます。「考える」ということよりも早く、脳が体に対して信号を出していると考えると、恐ろしくなりませんか。今まで蓄積された様々な情報をもとに、脳内のニューロン発火が行われ、われわれの動作が決められてしまうということになるのです。平均的に、私たちが「動作」を始める約0.2秒前に、「意識的な決定」を表すシグナルが現れるそうです。つまり、通常の意志を持った行動です。しかし、それよりも前に、約0.35秒前に、私たちの脳内では、行動を起こすための無意識的な「準備電位」が現れているそうです。つまり、私たちがが「こうしよう」と意識的な決定をする約0.15秒前には、すでに脳により決断が下されている可能性があるのです。「白いから、それは砂糖だから入れなさい」と信号が出ているのかもしれません。
しかし、多くの場合、「準備電位」と「意識決定のシグナル」のわずかな間に、動作の「拒否」をすることができるということが分かってきたそうです。変更や選択はできませんが、脳の決断後に、「中止する」という、私たちの意志が入り込むチャンスがあるということです。脳は、現象を素早くインプットし、過去の記憶や経験により形成された配線を通して、決断としてアウトプットするそうですが、生体的判断は「意識を持つ私たち」によって拒否はできるということです。ただし、拒否できるということは、できないこともあるということです。
1日で自分に入ってきた情報の7割を忘れてしまうことが自然な人間にとって、知識を蓄えることは大変なことではありますが、知識という選択肢が少ないことで脳が選択を間違えることがある以上、情報の蓄積方法を工夫することは必要だと思います。学校は、その蓄積方法を練習する場所なのかもしれません。
埼玉県立志木高等学校 校長 梅澤 秀幸